今回は、四国にお住まいの31歳会社員さんが、非正規なのに正社員よりノルマがきついというパワハラを受けた体験談をご紹介してみます。パワハラ上司から逃げて、転職することでパワハラ問題を解決したそうです。正社員と契約社員間での能力の差について差別的な意見を持っていたパワハラ上司だったとのことです。やはり差別やいじめが好きなパワハラ上司からは、逃げるのが最善の一手ということでしょうか?

差別的なパワハラ上司

31歳の会社員、男性です。現在は四国の徳島県に住んでいますが、パワハラを受けていた当時はお隣の香川県の方で仕事をしていました。もう6年ほど前のお話になります。あの頃私は、イベント制作会社のスタッフとして働いていました。雇用形態は契約社員という形で、それまでにも色々と正社員と比較されることは多かったです。

しかし、仕事の内容そのものはとても楽しく、やりがいを感じていました。パワハラなんて他人事だと思っていました。それをぶち壊したのが、これからお話しする上司です。その上司は当時で40代後半、日頃から差別的な意見をよく持ち出してくる人でした。特に拘っていたのが、正社員と契約社員間での能力の差についてです。

非正規なのに正社員よりノルマがきつい

非正規で社員になった人間はやはり何かが欠けている、だから正社員よりも厳しく指導されるのは当然との見解を常に示していました。そして、それを体現するかのように、私には非常に当たり方が強かったのです。中でもキツかったのは、ノルマの設定でした。あるとき社員全員にオリジナルのイベントを考えるミッションが出され、1人1人に期限内にいくつかの案を出すようにとのノルマが課せられました。その指揮を執っていたのは、先程、お話しした上司です。

すると、その上司は他の社員には2週間で1個程度のノルマなのにも関わらず、私に対しては、5日で3つという有り得ないノルマを提示してきました。これくらい乗り越えられなければ正社員にはなれないと、そう得意気に言うのです。この影響で、私は3日3晩寝ずに、必死でアイデアを練りました。プレッシャーに押し潰されそうになりながら、期限ギリギリで間に合わせたのを覚えています。

このノルマ制は毎月不定期でやってきて、その度に私を苦しめました。いつまでに営業でこれだけの仕事を取れだとか、イベントでこれだけの人数を集めろなど、課題は毎回変わります。ですが、基本的に私にだけノルマが厳しいことは変わらず、周りの正社員からも見て見ぬふりをされていました。本当に辛かったです。

ノルマが達成できなかったときには、待ってましたとばかりに罵倒されました。やはり契約社員はそんなものかと、だからまともな社会人にもなれないのだと、そうした内容だったと思います。仲の良かった同僚なども、段々と距離ができるようになりました。私と関わると一緒になって怒られると感じたのかもしれません。

パワハラで精神的に追い詰められる

更にメディアなどで正社員や非正規雇用といった言葉を聞くと、上司の顔や言葉がフラッシュバックするようにもなりました。最早、トラウマのような状態です。その情景を掻き消すために、意味もなく声を出したり、独り言を言ったりもしました。今振り返ると客観的に見て異様な姿ですが、いかに追い詰められていたのかがよく分かります。

仕事で失敗すると、暫くの間、全く仕事を与えてくれないときもありました。1つ上司から言われて覚えているのが、お荷物という言葉です。失敗だけなら、むしろ他の正社員の方がよくしていました。ケアレスミスが非常に多い社員も1人いて、普通ならそちらの方が声を大にして怒られるべきなのです。それでもどんなときでも、社員の中での序列は、いつも私が最下位でした。

仕事を辞めることを考え始めたのは、パワハラを受けるようになってから1年ほど経った頃です。自分が優秀になって上司に気に入られようだとか、誰かに相談しようだとか、そのようなことはもう全て試していました。しかし、現実は一向に変わってはくれません。ある日夢で上司に復讐をする夢を見ました。

暴力を振るって、上司をひたすら殴り続ける夢です。目覚めて夢だったことにホッとした一方で、自分の気持ちがもうここまで来ていることも同時に知りました。このままでは、逆に自分が事件の加害者になるかもしれないと、その危機感も退職の後押しをしたと思います。

転職して環境を変えて良かった

結果的に、1年間のパワハラの果てに、私は転職しました。解決方法は、今でもこれしかなかったと考えています。正確には、私が逃げたような形なのかもしれませんが、仮にどう思われていようが知ったことではありません。自己防衛のための一手でもあったのです。

実は、私は大学4年生の頃にリーマンショックを経験し、就職活動が上手くいかなかった過去があります。契約社員となったのは、そういった背景があったからです。私は、この現実をずっと引きずって過ごしてきたため、毎度、契約社員であることを強調されて、叱られると自己嫌悪に陥っていました。

それもあった影響か、不思議なもので、当時はそこまでパワハラを受けていた実感がなかったのかもしれません。多少なり、図星な部分もあったからです。とはいえ、今思えば、間違いなく私が受けていたことはパワハラです。現在は、とても良い人間関係にも恵まれ、楽しく仕事ができています。前職を辞めて良かったと、その気持ちしかありません。

きっと当時の私と同じように、不当な扱いの差やプレッシャーを与えられ、苦しんでいる人もいると思います。そうした皆さんには、是非、思い切って自分自身の環境を変える勇気を持ってほしいです。パワハラをする人間は、ハッキリ言って病気です。そうした人間の前から逃げること、これこそが最も確実なパワハラの解決方法なのではと私は感じています。