今回は、元歯科医院従業員さんが、院長から、ワガママで理不尽なパワハラを20年間受けた体験談をご紹介してみます。パワハラ問題は、辞めることで解決したそうです。歯科医院は、パワハラ院長の患者対応などで評判が悪く、経営難だったそうです。大きい組織だとパワハラでの悪影響も薄められるのでしょうが、小さい組織だとパワハラの悪影響はダイレクトに出てしまうということでしょうか?
退職者が多い歯科医院に就職
48歳パート従業員北海道在住です。私が22歳から42歳まで働いていた歯科医院でのお話です。その歯科医院へ初めて就職の面接に行ったときにすでに「何かおかしい」と感じていました。面接は院長が行ったのですが、とにかく無表情で会話がとても無機質な感じでした。ここに就職するのは考えたほうがよいかとも思ったのですが、とりあえず実際に勤めてみなくてはわからないこともあるだろうと雇用契約を結びました。
後日、急募だったので何故なのかと訊いてみるとそれまでのスタッフはパートも含め5人いたそうですが、短期間で次々と退職していったとのことでした。その時点で「失敗した」と思いました。それでも初めの1年くらいは大きなトラブルもなく働いていましたが、そのうち院長が自分のミスで治療が上手く進んでいないのに、それを私たちスタッフのせいかのようにグチグチ言い始めました。
しかもそれを患者さんの前で言って、さも自分のせいじゃないということをアピールするのです。患者さんを前に院長と言い合うこともできませんので、諦めのいいスタッフは「済みません」と謝ってその場を収めていました。当時私はそういった理不尽なことを受け止めるだけの寛容さもなければ、まだ若かったのでしょう。院長に対して抗議することもありました。
院長の理不尽なパワハラ
そういうこともあって院長は私を嫌っていましたし、その感情を事あるごとにぶつけてきました。何度も辞めようかと思いました。しかし、患者さんからはとても暖かく接して頂いてまた私も患者さんひとりひとりが大袈裟ですけど愛おしい存在になっていき、院長には怒りと幻滅しかなかったのですが、実際には辞められませんでした。
そして、その後も何人ものスタッフが院長のワガママなどのせいで去っていき、患者さんにも上から物を言ったり、時には大人の女性を泣かせるほどの罵倒を浴びせたりするなどで、病院の悪評が広まり患者数も減ったせいで、経営がガタ落ちに。そのストレスから更に私に対してもパワハラがエスカレートしました。多くの女性ならもうとっくに辞めていることでしょう。
しかし、長年そういった理不尽なパワハラを受けていると、人間って逆に強くなる人もいるんですね(笑)どんなに圧力をかけても立ち向かってくる私に疲れ果てたのでしょう。院長はストレス性の軽度の顔面麻痺になりました。そして、ミーティングでは私をはじめスタッフが思った通りに働いてくれないから、こうなったなどと子供みたいな悪態をつく始末。
経営難で人員整理
医院が経営不振になっているのも、患者さんから院長へクレームが何度も寄せられていたのに、「(治療に)来たくない奴は来なくていい」と自分から突き放していたのが原因なのですが、それを認めたくなかったのでしょう。沈んでいく船にいつまでも乗っているのも不安でしたが、ここまで堪えてきて、自分から辞めるのはとても悔しかったので、一度労働基準監督所に他のスタッフと電話をしました。
しかし、そういう訴えを起こして労基に動いてもらうには、その人数が少なすぎると言われました。大きな病院だったら、多人数なので訴えができるのですが、その当時は4人しかスタッフはおらず、波風を立てたくないという人もいて結局何もできませんでした。その1年後くらいにとうとう医院が潰れるかもという話が院長からあり、正社員を置かず短時間パートという雇用形態にしたいということでした。
そこで、私に対しては事実上の退職を勧めてきました。過去にも経営難で人員整理があったときには、「長く勤めているから仕事のことも患者さんのことも熟知しているあなたには残ってほしい」と言っていた院長。こんなにも自分勝手な人の下で働きたくなかったので、その場で辞めますと言いました。
現在は全く違う職種で働いていてそれなりにストレスはありますが、あの20年間の理不尽な毎日に比べるとはるかに生き心地がいいです。私も意地を張らずにすぐ切り替えて辞めていれば良かったと少し後悔しています。どんな社会でも多かれ少なかれパワハラは存在しますが、心身が壊れる前に退職という方法も間違いではないと思います。