今回は、元市役所職員さんが、一人だけ大量の仕事を押し付けられて毎日夜10時まで残業したパワハラ体験談をご紹介してみます。パワハラ問題は、体調不良で休職後、心配した課長が、他部署に異動させてくれたおかげで解決したそうです。役所というと定時に帰るイメージがありますが、忙しい人は忙しいようです。業務分担が一人だけに集中し、他の人は暇という組織はよくあるのではないでしょうか?給料が同じであれば、業務分担量も均等にすることができれば、パワハラ被害者が減るかと思われます。
一人だけ毎日夜10時まで残業
私は、9年前まで、市役所に勤めていました。その時、上司の係長から受けたパワハラの辛い体験をご紹介します。私は、38歳の頃、市役所で事務をしていました。その時、担当していた仕事は、市民課という部署で、外国人登録に関する仕事でした。外国人登録に関する窓口業務や、入力業務の全てを1人で、担当していたので、仕事量は、すごく多くありました。
そのため、私は、毎日、夜10時頃まで、残業していました。同僚たちが帰った事務所に、1人残り、寒い冬は、ひざ掛けをして、エアコンの効いていない中、「早く帰りたい」とひたすら思いながら、仕事をしていたのです。その状況に、課長は、気遣う言葉をかけて下さいましたが、直属の上司である係長は、全く理解を示してくれませんでした。
毎日、私が残業しているのを横目でちらっと見ながら、「先に帰るぞ」と言って、係長は帰っていくのです。私は「失礼します」と言いながら、いつも、心の中で、「係長だったら、私が1人、一生懸命仕事をしているのを見て、手伝おうかの一言ぐらい言ってくれてもいいのに」と思っていました。
係長の心無い言葉
毎日、残業の日々が3ヶ月ぐらい続いたある夏、係内で、飲み会が開かれました。私は、本当は、飲み会に参加するよりも、少しでも、早く帰って、体を休めたかったのですが、係長に勧められたので、その日は、残業をやめて、飲み会に参加しました。その飲み会の席で、私は、係長に、思いもかけないことを言われたのです。
係長が開口一番、私に、「朝の挨拶は、ちゃんとすべきだと思う」と言いました。「は? 何のこと朝の挨拶ならしてるけど」と私は内心思ったのですが、係長はさらに続けて、「朝の挨拶は大事だし、もし挨拶をしていたとしても、相手に聞こえなかったら意味がない」とみんなの前で、発言したのです。
私は、突然の思いがけない言葉に、唖然となりました。そして、心の中で、「挨拶ならちゃんとしてます。そんなことより、係長さん、私が毎日、残業しているのを横目で見ていながら、仕事はどんなとも、手伝おうかとも、一回も言ってくれたことないですよね。そういう態度って、係長としてどうなんですか!?」という言葉を何回も、叫びました。
さすがにみんなの前ということもあって、口に出しては言えませんでしたが、それ以来、私の係長に対する不満は、毎日、溜まっていったのです。
係長との無駄な話
そんなある日、仕事中に、係長が私を突然、呼びました。そして、「君の仕事について、説明してくれ」と言ったのです。私は、「珍しいもこともあるもんだな~。もしかしたら、これをきっかけに、私の仕事に理解を示してくれるのかな」と、ちょっと期待したのです。
しかし、私が、時間をかけて、係長に自分の仕事の内容を説明したにもかかわらず、係長は「君の仕事がよくわからない」と、一言、言っただけでした。私は、「この人は、私の仕事に全く理解を示そうとしない。それだったら、説明してくれなんて、言わなければいいのに。全く時間の無駄だった。この時間に、手を動かして、仕事をしていれば、残業の時間が30分、短縮できたのに。今の時間を返して~」と、口に出せない言葉を心の中で叫びました。
仕事の調整をしない係長
また、ある時、今度は、仕事が終わった後に、私は、係長に呼び出されました。「どうせ、また、変な話なんだろうな」と思いながら話を聞いていると、係長は、私に、「○○さんに、サブとして、君の仕事をやってもらうことにしているから、その人が、手が空いてそうだなと君が判断した時に、今、手が空いてる?それなら、私の仕事手伝ってよ。と、持ちかけてみたらいい」と言ったのです。
私は、その言葉を聞いた時、また、唖然となってしまいました。「えー。ちょっと待って。仕事を手伝ってよと私が言うの?係内の仕事の調節や、調整こそ、係長の仕事ではないの。この係長は、私の仕事を手伝ってくれないばかりか、仕事の調節まで、私にさせるつもりなの」。私は、次の瞬間、びっくりして、言葉を失ってしまいました。
私は思い切って、「それは、係長さんから、○○さんに、言ってみて下さい」と言ったのですが、係長は、「いや。これは、まずは、君の口から言うべきだと思う。どうしても、言いにくかったら、言ってあげるよ」と続けました。私は、正直、あまりの係長との考え方の違いに、唖然となり、言葉を失って、それ以降、何も、係長と込み入った話は、できなくなりました。
私は、何度も、「仕事を辞めたい」と思いました。結局、私は、体調を悪くして、診断書を出して、3週間、仕事を休みました。それを心配した課長が、翌年、私を違う部署に、異動させてくれて、問題は解決しました。今思えば、私、ひとりだけに課せられた理不尽な残業、決して理解できない理不尽な係長の言葉は、全てパワハラだったのだと思います。