今回は、元福祉分野の職員さんが、「仕事を教えてもらえなかったり」、「容器を蹴って足に当てられたり」したパワハラ体験談をご紹介してみます。パワハラは、組織の上層部にパワハラの事実を淡々と報告することで解決できたそうです。
福祉分野の職場
以前、福祉分野の職場に勤めていました頃、直属の上司から日常的にパワハラを受けていました。
福祉の仕事には多くの種類がありますが、私が行っていたのは、ご利用者様という、人を相手にした仕事でした。
私はあるご利用者様たちに、好かれていたのでした。
仕事場の、すべてのご利用者様に好かれていたのではなく、ごく少数のご利用者様だったのですが、上司はそのことが面白くないのだと、私は気がついていました。
その仕事場では、グループを作り、スタッフ数名ごとに、数名のご利用者様をしっかりとお世話させていただく、というイメージでした。
もちろん、全スタッフが、すべてのご利用者様のお名前や特徴を理解し、担当しているのですが、実際の、食事のお世話やお体のお世話といった具体的なサービスを十分にゆきとどいた形でご提供するために、各グループを作っていたのです。
教えてもらえないというパワハラ
私が同じグループの直属の上司から日常的に受けていたパワハラには、例えば、業務について質問をした際、「今じゃなくていいですか」と言われて、教えてもらえない、ということがありました。
かといって、それを振り替えて、いつ、教えてくれるということはありませんでした。
私は、自分がその上司から気に入られていないことを察していたので、質問がしづらいわけですが、それでも仕事をする上で質問が出てくるのは当然のことです。
毎日の質問しづらい空気の中、ぎりぎりのタイミングでの質問となってしまうので、「今じゃなくていいですか」と言われると、困りました。
容器を蹴られて足に当たる
また、あるときにはその上司は、業務や私とは関係なく、自分の感情の中でイライラとし、職場の床に置いてある、プラスチックの容器を私の方めがけて足で強く蹴飛ばしました。
私の足にはしばらく、そのプラスチックの籠が当たった跡が、ラインとなってくっきりと残っていました。
痛かったですが、怖い気持ちの方が大きく残りました。
パワハラ上司もパワハラ被害者
実はこの上司は、彼のさらに上の上司から、数年にわたり、ずっと嫌われていました。
飲み会に声を掛けられない、彼がいないときには、お酒の席以外でも、他のスタッフの前で軽口をたたかれてからかわれる、というのが日常的で、ストレスのはけ口が、確かに職場で、どこにもなかったのでした。
また、パワハラを受けていた私が言うのもおかしいのですが、繊細で、神経に非常に細やかな部分を持っていました。
それが裏目に出てしまい、ご利用者様に、いつでも同じように温厚に接することに、とても苦心している姿がよく伝わってきていました。
組織の上層部に相談
私はあるとき、意を決して、私の直属のその上司の上司をまたいで、組織のさらに上の人物に、直接相談をしました。
重い役職者であるその人は、二人の上司がいない、安全な空間で、私と二人だけの時間をとってくださり、話をゆっくりと、すべて、聞いてくださいました。
話の初めのうちは、なぜ、間にいる上司をまたいで、その上の立場の自分に相談をしてきたのか、いぶかしんでいましたが、私の話を全て聞き終わると、納得してくださったようでした。
後日、私の直属の上司は、重い役職者と面談をしたようで、その後、彼の様子が、とても良い方向へ変わりました。
結果、二人の上司は、お互いに顔を合わせなくても済むような、配置転換となりました。
パワハラの事実を淡々と報告すると良い
私は、重い役職者に直接話す前は、正直、直属の上司からの仕返しがとても怖かったというのが本音でした。
それでも、上司の私へのパワハラは、暴言など、度が高まり続けて、ご利用者様にも及びかねない事態が迫っていました。
私の背中を押したのは、そのことでした。
私は重い役職者に相談するに際して、一つだけ、自分で心に決めていたことがありました。
それは、感情に流されないように、とにかく、自分が見たこと、起きたことをそのまま淡々と報告する、ということでした。
私にとっては、ほとんどそれまで話をしたことのなかった、その重い役職者は、私のその態度から、ことの深刻さに、気づいてくださったのかなと、感じています。